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Sunday, October 07, 2007

郵政民営化の本質としてのグローバリズムは日本人を幸福にするか?!(

2007年10月1日より、郵便局が民営化された。小泉改革の目玉だった「郵政民営化」は、現実となった。これによって、いったいこれから、わが国で何が 起きてくるのか、注視していく必要がある。いくつかの問題点を挙げ、この改革の本質であるグローバル化について考えてみたいと思う。


1 郵便局が消えた

 まず、はっきりしていることは、郵便局の民営化によって、持株会社ができ、日本郵政株式会社の下に4つの会社に分社化された。郵便事業会社、郵便局会 社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険である。総資産は、338兆8300億円。社員数、24万人。店舗数、2万4000。まさに桁違いの巨大金融コングロマ リット企業の誕生だ。

 しかし、いかに時代の要請(?!)とは言え、この巨大企業体の船出によって、さまざまな混乱が予想されている。

 考えてみれば、明治の時期に、日本郵便の父と呼ばれる前島密(1835−1919)が英国の郵便事業を学び、日本の飛脚制度などを近代的に引き継ぐ形で、起こした郵便制度は、ほぼ136年ぶりに、大幅な変更を余儀なくされたことになる。

 前島密の始めた郵便制度の革新性は、郵便ポストを設置し全国一律料金を実現したことだ。

 このことで、日本人のコミュニケーションの質は飛躍的に向上した。また後に郵便貯金制度を導入し、貯蓄を奨励した。また万国郵便連合に加盟したのも、彼の功績だった。

 前島は、1872年(明治五年)3月に公布された本式の郵便規則の序文で、日本の郵便制度についてこのように語っている。

 【……(日本において)遠くであって近くであっても、どのようにしたら均一の低料金を実現できるのか。まして海外に郵便物を送る場合には、ひとつの封書 を送るにも、何カ国を経て届けるケースもあり、これは会社やひとりの商人が権利を得てやるような事業ではない。これはやはり政府が担当すべき事業であ る。……(郵便事業は)日本中片田舎の村や不便な所に至るまで、手紙が届かない地域をなくし、これによって、新聞や書籍や見本品などまでも、日本中これを 送り届けることができるようにして、文化交流を広め、貿易、生産、繁殖の基礎である(後略)】(明治5年 前島密起草とされる「郵便規則 序文」より 現 代語訳・佐藤弘弥)

 それまで、飛脚便というものが民業としてあったが、信頼度も低く、職業的にも差別的な扱いの商売だった。しかし前島は、その制度を、官業とすることで、 飛躍的に信頼度は増した。この前島の努力によって、日本中どこにでも定額料金で、遅配もほとんどない日本の郵便制度が確立したのである。

 しかし今回の民営化によって、この前島密の整えたシステムにヒビか入るのではないかと心配されている。というのは、手紙や葉書、小包を届ける郵便事業が、毎年赤字を出し、それを郵貯や簡保で出た利益で補ってきたからだ。

 民営化で、しかも分社化されることで、赤字会社だった郵便事業は、必然的に厳しい利益向上策が採られることになるのは必至だ。

 すでに多くの赤字の局は廃局となり統廃合され、今後もこの流れは加速するものと予想される。また郵便事業で働いていた人たちのリストラも当然あるだろう。

 一番の心配は、これまで配達されていた郵便物だが、山間地などでは、これを遠くの集配所のある場所まで、受け取りに行かなければならなくなる地域が発生することだ。

 高齢化の進む山間地や孤島などでは、これまで郵便屋さんと言われる人々が、郵便貯金や簡保のお金まで預かってくれて、それぞれの局で入金などしてくれていたのだが、これも分社化されることで出来なくなった。

 気がつくと「郵便屋さん」も、全国あちこちでかなりの割合、月給取りの局員ではなく「ゆうメイト」といわれるパートタイマーや、請負個人になっているという。

 また、ゆうちょ銀行になった結果、印紙税の負担が余儀なくされ、振込手数料(3万円以下)が30円から240円になるなど、大幅な値上げとなった。公共 料金の支払いも同様だ。日本人の間では、郵便局と銀行では、ある意味の棲み分けがあった。特に銀行の支店のない山間地などでは郵便局は重宝な存在だったの である。

 要するに郵政民営化は、特に格差拡大と高齢化の進んだ地方にとっては、まったく恩恵のないことなのである。しかしながら、多くの日本人は、「時代だから 仕方がない」とか「お上が決めたことだから仕方がない」と言っているが、私から言わせれば、これはとんでもない幻想である。

2 小泉マジックか?!ムードで通った郵政民営化法案

 こんな不便が通ったのは、日本中が小泉政権に「投票したから」なのである。今から2年前の8月8日、時の小泉首相は、郵政民営化法案が、参議院で秘訣さ れるやいなや、テレビ演説をして衆議院を解散すると語った。この中の演説で、小泉首相は、自民党内からも渦巻く民営化反対の声に対し、「殺されてもやる」 と決意のほどを述べた。その上で、反対候補には、刺客候補を送ってまで、民営化法案を通したのである。

 これによって、民意はガラリと変わり、衆議院選挙は、小泉政権の信任投票となり、賛成派の圧勝で、郵政民営化法案は、結局、2005年・秋の国会で成立となったのである。

 だから、郵政民営化は、時代でそうなったのではなく、日本人が、この法案の意味を心底理解していたかどうかではなく、小泉首相の劇場型政治(ムード)の説得にほだされて、通ったもので、自業自得と言えないこともないのである。

 さて、この郵政民営化であるが、経済のグローバル化の流れと言われているが、いったいグローバル化とは、何であるか、少しばかり考えてみたい。(つづく)

(佐藤弘弥)

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おもな関連記事:19歳郵便配達員はなぜ自殺した〜郵政民営化 光と陰(前)

Posted by paularenson