東京プログレッシヴは
1997年の
発足以来、様々に形を変えて現在に至っています。当初
は英語を学ぶ日本人学生の一助として、また批判的読解力を育てるた
めのオルタナティヴ・メディアとしてスタートした後、民主的メディアを推進する情報源として発展してきました。「民主的メディア」とは時に分かりにくい言
葉ですが、企業メディアによって非公開とされたり歪曲された情報を解放するメディア、という意を含みます。それはまた、東京プログレッシヴも含めたすべて
のメディアは、そのメディア独自の視点を持ち、「メディアの客観性」という言説は神話にしかすぎない、ということの理解でもあります。
社
会的説明責任と複雑な諸問題の理解の促進
多くの国で、企業メディアは国家権力に寄り添った位置にあり
ます。よって、普段ははっきりと明かされませんが、企業メディアの視点も国家権力のそれに近いものであることは、容易に想像できます。企業メディア上で働
いている偏見の程度、その偏見を元に報道されるニュースの種類、また、そうした偏見を正当化するために強調される視点などについては、一般に理解されてい
ないことが多いのです。悲しいかな、オルタナティヴ・メディアの多くについても同様のことがいえます。
東京プログレッシヴではますます、ニュースタ
ンダードが提案するニュースモデルに共感するようになりました――「真にニュートラルで、公平で、偏見のないジャーナリストも編集者もいない。大事なの
は、その記事がベースとしている価値観や視点を隠さず、明らかに示すことである」。
ニュー
ス・ライティング/報道における一定の原則を確立したのがアメリカのオルタナティヴ・ソース、「ニュー
ス・スタンダード」ですが、その原則の中には企業メディアや通常の
オルタナティヴ・メディアには見られない、貴重な価値観が含まれています。それは「自分たちの生きる世界に関する発言影響力を増すために読者が必要として
いるニュースや情報の配信を通し、政府や企業権力に、一般の人々に対する責任を果たすよう働きかける;そして、一般市民の利益に関わる複雑な諸問題への理
解を促す」というものです。
この原則を受け、「ニュース・スタンダード」
では可能な限り厳格な事実調査を行っているため、東京プログレッシヴでも自信を持ってそのニュースを紹介しています。しかし残念なことに「ニュース・スタ
ンダード」では、本来語られるべきニュースのすべてをカバーできるリソースが不十分で、特に日本、アジアに関する発信が不足しています。そこで私たち東京
プログレッシヴが、同じ価値観の下に、日本、アジアからの発信の役を担う価値があると考えます。
日本の主流メディアに代わるメディアとして
私たちは日本に拠点をおくウェブサイトとして、他の多くの国と比較して、日
本では企業メディアに対抗するオルタナティヴなメ
ディアの存在が、嘆かわしいほど不足している、と認識しています(私たちの「企業メディア」という定義にはその偏向性から、NHKのようないわゆる公共メ
ディアも含んでいます。NHKは時に良心的なニュースや社会問題を取り上げてはいますが、依然、政府-企業陣営の中に留まっているからです)。
日
本にもいくつか主流に代わる情報ソースは見受けられますが、それでも、それらは政党や単一争点しか持たないグループの言論に限定される傾向があり、日本
国外のオルタナティヴ・メディア同様、ニュースに関して本来行われるべき厳格な事実調査が十分になされていません。
そ
んな日本のオルタナティヴ・メディアの中でも、イ
ンディメディア・ジャパ
ン(東京プログレッシヴが創設を支援)などは、主流メディアにおける旧態依然とした体制を維持しようとするニュースや情報への締め付けに対抗する
広範囲の視点に発言の場を与えることで、活発に社会変革を推進しています。
し
かし、そうしたオルタナティヴ・メディアでも「ニュース・スタンダード」とは異なる点は、ハードニュースには焦点を当てておらず、そうしたニュースを自
分たちで提供するリソースに私たちは欠けています。そこで、より広く呼びかけてニュースや解説を集めていく必要があるのです
私たちが取り上げるニュース
い
わゆる「公式」メディアに代わるオルタナティヴがあまりに少ないため、非主流ニュースソースの中から、主流メディアに欠けていると思われるニュースや、
自分たちに影響が及ぶ問題から疎外され、それらの出来事に対し無力だと失望している一般の人々の利益となるようなニュースに、私たちが焦点をあてることが
いっそう重要です。
「ニュー
ス・スタンダード」と異なり、「東京プログレッシヴ」では掲載ニュースの大半を自分たちでは執筆していません。しかし、「ニュース・スタンダー
ド」と一致する点は、私たち自身のそれぞれの活動的立場性をいったんおいて、ニュース報道はいかなるイデオロギーにも囚われない形で発表されるべきだと考
えている点です。ニュース・スタンダードは言っています――「イデオロギーによって公正さや精確さがあいまいにされることがある」。私たちも、あるニュー
スが「特定の情報源や立場に好意的に見える」場合には、常に疑念を持つべきです。
私
たちが満足できる質のレポートは不足しているため、このサイトで掲載したり、リンクしているニュースでも、すべて「東京プログレッシヴ」が納得できるだ
けの調査に基づいているわけではないかもしれません。従って、通常このサイトでは掲載記事に関連する複数のリンクや、大きな問題に連なる特定の記事には短
い解説なども提供しています。その中で、日本の読者のために国外問題に補足したり、また国外の読者に対して日本国内問題の補足も行っています。また、読者
からのコメントやニュース、解説の投稿なども募集しています。
最
後に、オルタナティヴ・メディアに関わるすべての人が留意すべきことですが、このサイトがそうしたアプローチを行っている理由は、他の多くのオルタナ
ティヴ・メディアの持つ論調や言い回しによって興味を持てないでいる読者にも、これらのニュースや解説記事が届くものであって欲しいと願うからです。
こ
の考えは、私たちが教育に対して抱くのと同じ哲学からやってきています。人々はそれぞれ自身の結論を自由に導けるようであるべきだし、人々が結論へと導
かれるべきではないからです。良い教育とは人々を解放するものであり、メディアもまたしかりです。そう信じるがゆえに、威圧的だったり過度に推測的なため
に私たちの哲学とは矛盾するニュースでも、引用せざるを得ないのですが、「東京プログレッシヴ」のコメントの中で、懐疑的な視点やさらに深い追究を促すこ
とを意図しています。